洋風ミックスグリルハンバーグ
フライ盛り合わせ
ご飯大盛り
味噌汁→豚汁大盛りに変更
が
120キロはあるだろうの彼の選んだ、メニューだった。
自分の注文品を待っている間にヒマだったのと
丁度、食券販売機の向かいに座っていたので巨漢の彼の注文品に興味があったから
オレは盗み見した。
彼は狭い一人用のテーブルと椅子に腰かけようと荷物を床に置き背もたれに手を掛けた。
『バキッ・・・』と小さめの音が鳴り
食事をしている人たちが巨漢の彼に注目した。
彼は恥ずかしそうに4人用のテーブルに場所を変えた。
4人用のテーブルに一人が座る…時間は12時だ。つまり、一番来客の多いお昼時である。
彼が座った4人テーブルが団体用の最後のテーブルだった。
その時に
3人のOLが入ってきた。テーブルに空きはなく、OL達は彼を見ていた。
一人用に狭いが行けよ。と言わんばかりの眼差しだった。
そして、意外に彼は空気を読めて再度一人用に移動した。
彼は優しく、そっと椅子に手を掛けて爆弾処理班のような慎重な動きで腰かけた。
オレや周りの期待通りに
『バキ』・・やはり小さな音ではあるが鳴った。
彼は下を向いて恥ずかしそうだった。
余談ではあるが、その食堂は昼時は常に一杯だ。
味は普通だが、理由はお代わり自由のご飯が原因だからだ。
彼は食券をテーブルに置いて店員が来るのを待っていた。
しかし、来ない。
忙しいのと、30人は収容できる食堂で昼時だ
しかもご飯おかわり無料が売りだけの店だ。
あっちこっちから
『ごはん、おかわり!』『おかわり半分ライスで!』と声が飛び交ってた。
巨漢な彼は周りをキョロキョロとしていた。
先ほどのOL達の目線、『バキッ』という音で少なからずとも彼は注目されていた。
彼もそれは自覚していたんだろう。
だから、巨漢な彼は恥ずかしさもあり声を出して
『おい!食券取りに来い!いつまで待たせるんや!』とは言えなかったんだろう。
と、思った瞬間にオレの注文品の「生姜焼き定食」が来た。
それをみて
巨漢の彼が立ち上がり
『スンマセン!』・・・・誰も来ない。
間が悪い事に店員が皆、厨房の方に行っているのである。
他のお客さんもオレも彼をチラチラと見ていた。
彼は先ほどよりも大きな声で
もう一度、
『スンマセン!!!』・・・・店員は来ない。
そして
彼がテーブルから移動して厨房へ行くか行かないかのタイミングで
女の店員が厨房から顔をだして厨房から出てきた。
巨漢な彼が一言
『はよ、来いや、何回も呼んでるやろ』と周囲に対する恥ずかしさを消しさるかのように
怒り気味の口調で言った。
その口調で怒っていると解ったので、オレも周囲の客も知らぬふりして食事をしてた。
その女店員が
『すいません、ごめんなさい。聞こえなかったんです。』
と、厨房から出てきながら謝っていた。
そして
完全に厨房から出てきて
一言
『ご飯おかわりですか?』
巨漢の彼は顔が真赤になって
『違うわ!!』
と。
恐らく彼は違うわ!の後にこう言いたかったんだと思う。
『ボケッ!まだ注文通ってないやろが!!!』と。
そんな、女店員が巨漢の彼の『違うわ!』の後に続く言葉を聞く事なく返事をした。
恐らく
女店員は120キロはある巨漢が怒っているので怖がってパニックになってたんだろ。
恥ずかしさと空腹と苛立ち中の巨漢の彼に向って女店員が一言
『ダイエット中ですか?』
女店員はハッとしてすぐさま
『違うんです…すいません。申し訳ないです。。』
オレはビックリした。耳を疑った。
周りのお客も引き攣った顔をしていた。
OLたちがクスクス笑っていた。
その反対側に座ってた、イケイケギャルなお姉さんと彼氏が大爆笑してた。
『おもろい~~!めちゃウケタッ!!』と。
巨漢はドン引きしてた。。。
そして
食券を握って店から出て行った。。
恐らく相当、傷ついたであろう。。
本当にかわいそうだったな。。。
何故か、オレはこういう場面にヨク出くわす。
う~ん、微妙な心境だ。